乳がんには「病期」がある
乳がんに限らず、がんの話をする時に出てくるのが
「ステージ」という言葉。
これは、日本語にするといわゆる「病期」のことで、
がんの進行度を表しています。
「乳がん」と一口に言っても、
がんの大きさや転移の有無などによってステージが分けられていて、
治療法も異なります。
そのため、乳がんと診断が下された後は、
次の段階として様々な検査を行い、
その結果からステージを判定するのです。
乳がんのステージは、
・しこりの大きさと症状(Tumor)=T
・リンパ節転移の有無(Lymph Node)=N
・遠隔転移の有無(Metastasis)=M
…によって分類する「TNM分類」が一般的です。
病期は、0期、1期、2A期、2B期、3A期、3B期、3C期、4期の
8期に分けられています。
ステージ別 乳がんの症状
乳がんの病期は、8つのステージに分けられます。
それぞれのステージでの病態の特徴は次の通りです。
●ステージ 0期
非浸潤がんで、その箇所に留まるタイプの乳がん。
●ステージ 1期
しこりは2cm以下、リンパ節転移なし。
●ステージ 2A期
しこりは2cm以下で、ワキの下のリンパ節に転移している疑い有り。
または、しこりは2.1〜5cmだが、わきの下のリンパ節に転移は無し。
●ステージ 2B期
しこりは2.1〜5cmで、わきの下のリンパ節に転移の疑いがある。
●ステージ 3A期
しこりは2cm以下だが、わきの下のリンパ節に癒着していたり、
周辺の組織に固着している。
または、胸骨の内側のリンパ節が腫れている状態。
●ステージ 3B期
しこりの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、
しこりが胸壁に固着している。
または、しこりによって皮膚が崩れたりしている状態。
いわゆる「炎症性乳がん」。
●ステージ 3C期
しこりの大きさにかかわらず、わきの下、胸骨の内側、
両方のリンパ節に転移している。
あるいは、鎖骨の上下のリンパ節に転移。
●ステージ 4期
しこりやリンパ節の状態に関わらず、遠隔転移あり。
ステージと生存率
言うまでもありませんが、
ステージが若いほど生存率や治癒率は高くなります。
乳がんの5年生存率の目安は以下の通りです。
ステージ1 95%
ステージ2 85%
ステージ3 70%
ステージ4 20%
10年生存率は、
ステージ1 90%
ステージ2 80%
ステージ3 60%
ステージ4 20%
どうでしょうか。早い段階で発見できれば、
それだけ命が助かる可能性が高くなることがよく分かりますよね。
しかも、乳がんは、他のがんと比べると比較的生存率が高いのが特徴的。
例えば、膵臓がんでは、ステージTでも生存率は40%程度です。
たとえ乳がんと診断されても、過度に悲観的になる必要はありません。
乳がんの無病生存率
「無病生存率」という言葉をご存知でしょうか?
これは、転移や再発がない状態で生きていられる割合のことをいいます。
せっかく命が助かっても、転移や再発を繰り返しているのでは、
精神的にも肉体的にも負担が大きいと思います。
最近は、新薬の開発に伴い、
乳がんの無病生存率も上昇傾向にあるのだとか。
1度がんになったからといって、必ず再発するとは限りません。
不安を解消する意味でも、
どうすれば健康で楽しい毎日を1日でも長く維持することができるのか、
主治医に相談してみると良いでしょう。