乳がんの教科書

男性と乳房

女性にあって、男性にはないものってなんでしょうか?
…一つではなく、色々なものが思い浮かぶと思いますが…(笑)。

 

乳房(バスト)のその一つ。
豊かなバストは、女性の象徴と思われがちです。

 

しかし、男性にもいわゆる“乳房”はあり、
中には乳がんにかかる方もいるのです。

 

男性で乳がんに罹患するのは、60歳以上の高齢の方に多いと言われており、
乳がん全症例の約1%を占めるそうです。

 

症状や経過は、女性の乳がんとほぼ同じ。
「胸にしこりがある」という症状を訴えて受診し、
乳がんが発覚するケースが多いようです。

 

しかし、男性の乳がんは、背景に“ある病気”の影が見え隠れします。
その病気とは、「女性化乳房」です。

女性化乳房とは?

男性の乳がんの多くは、
女性化乳房という症状を背景として発症すると考えられています。

 

女性化乳房とは、読んで字のごとく、
男性の胸がまるで女性のバストのように大きくなってくること。
分泌的異常(いわゆるホルモンの異常ですね)が深く関与していると言われており、
このバランスの乱れが発症の要因になっている可能性が指摘されています。

 

意外と知られていないことですが、男性にも女性ホルモンはあります。
通常は肝臓で分解されていますが、
肝臓に障害が生ずるとこのシステムがうまく機能しなくなり、
体内の女性ホルモンが異常に増えてしまうことがあります。

 

また、脱毛の治療薬が原因となって女性ホルモンが増え、
全体のホルモンバランスが乱れてしまうこともあります。

 

こうした要因により、本来は発達しないハズの乳腺が発達してしまう…。
これが、女性化乳房です。

 

この症状が表れると、「恥ずかしいから」という理由で
専門医の受診を避けている男性も多いのだとか。
放っておいたために乳がんまでも併発し、
手遅れになって命を落としてしまうケースも少なくないのです。

男性の乳がんの特徴

男性の乳がんは、乳輪下に発症することが多いと言われています。

 

ホルモンについての項目でも詳しく説明していますが、
乳がんには女性ホルモン(エストロゲン)によって
増殖が促進されるタイプのものがありますが、
男性の乳がんはほとんどがこのタイプ。
女性ホルモンの働きを阻害する方向で治療が行われます。

 

また、手術に関して言えば、多くの場合は乳房全摘手術が必要。
「手術を受けた後にホルモン治療を行う」
といった治療スケジュールが一般的なようです。
(※もちろん、個人の症状や病院の方針によっても治療内容は異なります!)

男性でもマンモグラフィー検査は受けられる

「男が乳がんにかかるハズがない」
という過信から、異常を感じても病院を受診しない方が多いようです。

 

しかし、男性も乳がんにかかるのは事実。
しこりなどの違和感に気づいたら、最寄の外科や乳腺科を受診しましょう。

 

ちなみに、男性でも
マンモグラフィーによる乳がん検診を受診することは可能です。
(※マンモグラフィーとは、乳房を台と板で挟んで受けるX線検査のこと)

 

実際、映画『余命1ヵ月の花嫁』のモデルにもなった赤須太郎さんは、
(乳がんでフィアンセを亡くされ、
現在は彼女の遺志を継いで乳がんの啓蒙活動などを行っています)
男性ながらマンモグラフィーで乳がん検診を受けたのだとか。

 

命が関わることですから、
「男なのに…」なんてつまらないプライドに拘っている場合ではありません。
気になる症状が出ている方は、早めの受診をオススメします!