乳がんの教科書

浸潤がんとは

筆者は、家族の乳がん告知を受けた時、医師にこんなことを聞かれました。

 

「乳がんについて調べてみましたか?」
「乳がんには種類があるのをご存知ですか?」
「浸潤がんという言葉をご存知ですか?」

 

…正直、一つも答えられませんでした。
家族ががんになったというショックで、
とても乳がんについて調べる気持ちにはなれなかったのです。

 

「勉強してきてくださいねって、言いましたよね?」
と、本人に対してちょっと呆れたような表情を浮かべた医師に対して、
その時は、
「乳がんの告知をされた直後の患者に対して、それはちょっと酷なんじゃないの?」
って思ってしまったのですが、よく考えると、自分の身体のことについて
正しい知識を身につける努力をするのは当然のことなのかもしれません。

 

人間関係においても、相手とうまくやるためには、まずは相手を知ることが大切。
これは病気でも同じことなのではないでしょうか。

 

ちなみに、浸潤がんとは、がんが発生したところの組織層を超えて広がり、
周囲の健康な組織内にまで増殖しているがんのこと。
いわゆる、「一つの場所に留まらずに転移するがん」ということです。

 

この「浸潤がん」にもさらに種類があり、
乳頭腺管がん、充実腺管がん、硬がん、特殊型…の4種類に分けられます。

 

 

乳がんの種類@ 乳頭腺管がん
 乳がんの約20%がこの種類のがんです。
乳頭腺管がんはきのこ状に発育するがんで、
様相は正常な細胞と良く似ています。
リンパ節への転移の確率も低く、予後も良好です。
(要するに、それほど悪性ではないということです)

 

 

乳がんの種類A 充実線管がん
乳がんの約20%を占める種類のがん。
小さな腺管の中身を押し広げるように増殖するがんで、
悪性度は中程度と言われています。

 

 

乳がんの種類B 硬がん
 これは、乳がんの中でも最もタチの悪い種類のがん。
乳管の外側にパラパラと発育するがんです。
乳がんの約40%がこの種類と言われています。

 

 

乳がんの種類C 特殊型
すでにご紹介した3種類を「標準型」とすると、
これはそれらとは異なる種類のがんです。
例えば、粘液を多量に含む粘液がんや、炎症性乳がんなどがこれに含まれます。
特殊型には、約10種類のがんが含まれています。

 

 

種類の話からは少し脱線しますが、乳がんで一番多いのは、
乳房の外側上部にできるがん。
全体の約45%がこのタイプだそうです。

 

次いで、約23%が内側上部、14%は外側下部です。
内側下部や乳輪下部にできるケースは非常に稀なようですね。

 

がんの様相と“分化”

「分化」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?

 

分化とは、細胞が定められた役割を果たせるように成長していく過程のこと。
がんの種類を表現する際には、
「高分化がん」、「低分化がん」といった言葉が良く使われます。

 

前者は、正常な細胞に近い形まで成長したがん。
後者は、正常な細胞の形がほとんど見られない形で成長したものをいいます。

 

また、正常な細胞の形がほとんど見られないがんは「未分化がん」と呼ばれます。

 

分化度が低いがんほと、増殖する力が強いと言われていて、
それだけ「悪性」である度合いが高くなります。

 

医師によっては、これを「がんの“顔つき”」と表現する場合もあるようですね。