乳がんの教科書

子宮筋腫ってどんな病気?

乳がんと並んで女性に多い病気といえば、子宮筋腫でしょう。

 

子宮筋腫とは、子宮の「平滑筋」の中にできる筋肉の瘤(こぶ)。
症状自体は決して珍しい現象ではなく、ごく小さなものも含めれば
成人女性の10人に2〜4人の頻度で子宮筋腫があると言われています。

 

しかも、子宮筋腫は良性の腫瘍であって悪性の腫瘍ではありません。
他の臓器に転移することもほとんどありませんので、
基本的には命の心配につながるような病気ではありません。

 

しかし、子宮筋腫は時間をかけて少しずつ成長し、
時には数十cmにまで達するケースもあります。

 

症状としては、腹部に鈍い痛みや膨満感が出たり、
生理日以外にも出血があったり、
生理痛が重くなったり…と、本人にとっては非常に辛い症状。
また、子宮筋腫が不妊の原因になっている場合もあります。

 

一方で、妊娠をきっかけに女性ホルモンの分泌が盛んになり、
これによって子宮筋腫が成長したために、
初めて筋腫の存在に気付くケースもあります。

 

しかし、子宮筋腫があっても基本的には胎児には影響がなく、
無事に出産を済ませる方がほとんどです。

子宮筋腫がある人は乳がんになりやすいってホント?

実は、筆者の母親は、筆者を出産する際に子宮筋腫が発見されました。
その後の経過観察でも、特に筋腫が大きく成長することもなかったため、
手術で摘出するでもなく、薬で治療するでもなく、
30年以上もそのまま放置してきたのです。

 

そして約30年後に乳がんを発症…。
何かの雑誌で
「子宮筋腫がある人は乳がんになりやすい」
という記述を目にしたようで、
「あの時、切除しなかったから乳がんになったのではないか」と、
自分を責め続けていました。

 

しかし、結論から言えば、両者の間に明確な関連性はないようです。

 

確かに、子宮筋腫も乳がんも、
女性ホルモンが関与している病気であることに違いはありませんが、
直接的な関連は今のところはっきりとはしていません。

 

一方で、乳がんの治療が子宮筋腫に悪さをするケースはあるようです。
これは、筆者の伯母のケースですが、
乳がんの治療でホルモン療法を受けていたところ、
子宮筋腫の大きさが約2倍にまで成長してしまったのです。

 

ホルモン療法は、本来、女性ホルモンを押さえる療法のはずなのに
なぜこのようなことが起こるのでしょう。
普通に考えると、筋腫が小さくなることはあっても、
成長することはなさそうですが。

 

しかし、そこが乳がん治療の難しいところ。
担当医によれば、乳がんのホルモン治療は、
「乳がんには効くけど子宮筋腫には逆効果なこともあり、そこが難しい」
のだとか…。
(※「タモキシフェン」は、子宮内では、女性ホルモンとよく似た作用をするため、
子宮筋腫や子宮内膜がんのリスクを高めることがあるのだそうです)

女性の身体は「エストロゲン」に支配されている!?

子宮筋腫と乳がんの両方に関与しているホルモン。
それが、「エストロゲン」です。

 

これは、脳から女性特有の臓器(例えば子宮や乳腺)に向けて放たれる
一種の“命令”のようなもの。
それぞれの臓器の細胞は、その命令に従って働き、増殖します。

 

しかし、この命令があまりに過剰になると、細胞のほうが
「え〜い!うるさいっ」
…という具合に反乱を起こし、命令を無視して働き始めます。
これが、がん細胞の始まり。
本来の正しい働きをせず、
むやみやたらに増殖を続けるようになってしまいます。

 

子宮筋腫や乳がんをはじめ、女性特有の病気の多くは、
このエストロゲンの分泌量上昇に起因していると考えられています。

 

こうした病気が増えている原因としては、まず、
「高脂肪食」が増えたことが挙げられるでしょう。
コレステロールは性ホルモンの材料となるもの。
高脂肪食は、エストロゲンの材料を供給する元になります。

 

また、出産・授乳をしない女性が増え、昔の女性たちに比べると
身体がエストロゲンにさらされる期間が長くなっていることも原因の一つ。
社会の変化に伴って女性たちのライフスタイルが大きく変化したことが、
結局は一番大きな原因になっていると言えそうです。

 

「自分の人生をエストロゲンに支配されてたまるか!」

 

…そんな、現代女性たちの叫びが聞こえてきそうですね(笑)