乳がんの教科書

抗がん剤治療の目的は?

がんの治療法として良く知られているのが、「抗がん剤」を使った治療。
乳がんに関しても例外ではなく、抗がん剤を用いた治療や、
手術と抗がん剤を組み合わせた治療が一般的になっています。

 

そもそも、抗がん剤を用いる目的は、
乳がんのがん細胞の増殖を抑えることや、死滅させることにあります。
転移の可能性がある場合、乳がんのしこりを切除する手術だけでは
がんの芽を摘み取ることはできません。
がんは、リンパや血液の流れに乗って全身に広がる可能性があるからです。

 

そのため、遠隔部位への転移が疑われる場合は、
手術だけではなく抗がん剤の治療を勧められることが多いようです。

 

また、抗がん剤を使うことで
“今あるしこり”を小さくすることが可能な場合もあるため、
手術前に抗がん剤治療を行って
しこり部分を小さくしてから手術を行うケースも多いようです。

 

乳がん治療に使われる抗がん剤は数十種類あり、
2〜3種類を組み合わせて使う「多剤併用」が基本となります。

 

投与回数は「クール」や「サイクル」という言葉で表現され、
例えば「3週間に1回(あるいは4週間に2回)の投与を1クール」とし、
それを何クール続けるか?…と言った具合に、
病期に応じてメニューが決められます。

抗がん剤の副作用

よく知られていることですが、抗がん剤を用いる際には、
効果と副作用の両面があることを認識しておく必要があります。

 

抗がん剤には、乳がんをはじめとするがん細胞の増殖を抑えたり
死滅させたりする効果がありますが、同時に、
正常細胞にもダメージを与えるリスクを伴います。
これが、副作用が起こる原因です。

 

正常細胞の方が回復のスピードが早いため、
例えば「3週間に1回」といった具合に投与に間隔を持たせることによって、
正常な細胞には回復する時間を与えつつ
がん細胞にダメージを与えるという治療法が一般的です。

 

すでにご紹介した通り、
乳がんの抗がん剤治療は多剤併用が一般的ですが、
これによって副作用が軽減され、
症状改善の効果は高まるといわれています。

 

一種類の抗がん剤を使っていると、
がん細胞が抵抗性を獲得しますので、症状は改善されずに
副作用だけが残ってしまうということになってしまうのです。

抗がん剤の種類と副作用

副作用は、個人差や薬剤の性質、
その抗がん剤との相性によっても違ってきます。

 

また、近年では副作用を抑える薬の開発も飛躍的に進んでいます。

 

ですから、「抗がん剤治療=副作用がキツイ」とは
必ずしも言い切れないのです。

 

また、毎回、治療前には白血球の値などをチェックし、
ある基準値よりも白血球の値が低い場合には治療を延期します。
あくまでも、「体調をみながら」行う治療であることを認識しておきましょう。

 

ここでは、乳がん剤に用いられる抗がん剤の種類と、
主な副作用についてご紹介します。

 

・エンドキサン
がん細胞のDNAを壊す効果があります。
副作用:白血球の減少や出血性膀胱炎、脱毛、嘔吐

 

 

・メトトレキセート
がん細胞が作られるプロセスを阻害します。
副作用:肝障害、腎障害、口内炎を引き起こします。

 

 

・アドリアシン
癌細胞の増殖を抑制する働きがあります。
副作用:白血球の減少や脱毛、吐き気や嘔吐、心筋梗塞

 

 

・ファルモルビシン
がん細胞の増殖を抑える働きがあります。
副作用:アドリアシンとほぼ同じ。程度は軽いようです。

 

 

・タキソテール、タキソール
がん細胞の細胞分裂を抑えます。
副作用:白血球の減少や脱毛、末梢神経障害

 

 

・5−FU
がん細胞が作られるプロセスを阻害します。
副作用:下痢や吐き気・嘔吐、白血球の減少、肝障害、皮膚の色素沈着

 

 

・トラスツズマブ
遺伝子組み替えを利用した新しい抗がん剤。
HER2タンパクの受容体に取り付き、乳がんの再発や転移に効果を発揮します。

 

※乳がんの20〜30%に、「HER2タンパク」という
たんぱく質の過剰生産が見受けられます。
これが乳がんの予後を悪くすることから、
このHER-2たんぱくの働きを抑えることが
乳がんの治療に効果的であることが分かっているのです。

 

副作用:心臓への影響

 

 

【補足】
ちなみに、抗がん剤で毛が抜ける場合は、まつ毛やまゆ毛も抜けます。
髪の毛も一気にバサッと抜けますが、病院によっては
「医療用」の肌にやさしいかつら(約5万円前後)を手配してもらえる
ところもあります。

 

フォンテーヌなどの人毛を使ったかつらやウィッグは
値がはるものが多いので、医療用がオススメ。
事前に医師や看護師に相談してみましょう。

 

放射線で乳がん