乳がんの教科書

漢方薬を使った治療 その注意点

外科手術や化学療法などによる乳がん治療は、
どうしても後遺症や副作用がつきもの。
かえって患者の体力や気力を損なう結果にもなり兼ねません。

 

そこで注目されるのが、漢方薬を使った乳がん治療。
ご存知の通り、中国悠久の文化背景と深厚な民族基盤に基づいた治療法で、
その理論体系と治療方法は非常に特徴的です。

 

がんに限らず、アレルギーなども、西洋医療では治らなかった症状が
漢方薬で完治したという例がいくつもあります。

 

そもそも、漢方薬を使った乳がん治療の目的は、
患者の体力・抵抗力・回復力を高めること。

 

どの漢方薬を用いるかという処方内容については、
患者の体力や食欲の状態、自覚症状、
がんの進行状況に応じて医師が調整します。

 

化学療法に比べると、吐き気や脱毛とった顕著な副作用はありませんが、
中には注意が必要な成分が含まれている漢方薬もあります。
特に乳がんは、女性ホルモンである「エストロゲン」によって増殖が促されるがん。
自然界には女性ホルモンと同じ作用をもった生薬が存在しますので、
この種類の生薬をつかった漢方薬の服用には注意が必要です。

 

例えば、生薬として有名な「高麗人参」にはエストロゲン作用があるため、
乳がん患者は高麗人参の使用は避けるべきであるという説もあります。

注意が必要な生薬

美意識の高い女性に大人気の大豆イソフラボン。
この成分は、体内でつくられる女性ホルモン「エストロゲン」と
構造や働きが非常によく似ています。
そのため、「植物エストロゲン」として広く知られているのです。

 

健康な女性であれば、この大豆イソフラボンを摂取することによって
更年期障害や骨粗しょう症の改善などの効果が得られるでしょう。

 

しかし、このイソフラボンの摂り過ぎは
ホルモンバランスを崩す一因になりかねないとして
注意も喚起されています。

 

食品安全委員会が定める1日の大豆イソフラボンの摂取量の上限は70〜75mg。
それ以上摂取すると、乳がんを誘発する危険性がある
のです。

 

特に、乳がんの治療で抗エストロゲン剤を使ったホルモン療法を受けているときは、
摂取しないのが一番です。
(抗エストロゲン剤:がん細胞が持つエストロゲン受容体を塞いだり、
体内のエストロゲンの産生を阻害したりする薬剤)

 

この大豆イソフラボンの他にも、
同じような植物エストロゲン作用を持つ生薬は多数存在しています。

 

ただ、漢方薬に使われる生薬や
ハーブのエストロゲンの量に関する情報は乏しいのが実情。
葛根と高麗人参、甘草以外はあまり知られていないようです。

漢方薬の効果

自然の生薬には、必ずしも
乳がんにプラスの効果をもたらすわけではない成分も含まれています。

 

しかし、乳がん治療に重要な意義をもたらす成分があることもまた事実。
滋養強壮作用をもつ漢方生薬は生体防御反応を調節、活性化してくれますし、
がん細胞の発生を遮断したり抑制したり、
がん細胞を殺傷してくれる成分もあります。

 

また、手術による衰弱を改善する効果も実証されていますので、
西洋医学の補助的な位置づけとして用いる病院も多いのです。

 

乳がん治療に用いられている漢方薬として代表的なものといえば、
「天仙液」が挙げられるでしょう。
大規模な臨床試験を経て「抗がん剤」として認定された漢方薬で、
中期、末期がんに対する治療にも良く用いられているようです。

 

中国政府の認可を受けている他、アメリカではFDA(米国食品医薬品局)から
漢方サプリメントとしての承認も受けているのだとか。
興味がある方は、主治医の先生に尋ねてみると良いでしょう。

 

他にも、乳がん治療のための漢方薬としては、
当帰芍薬散桂枝茯苓丸などが使われています。
組織の血液循環を良くする作用がありますので、
ダメージを受けた組織の修復を促進する効果が期待できます。

 

このような漢方薬を併用していけば、
ホルモン療法や抗ガン剤治療を妨げずに、
副作用を軽減しながら乳がんの治療を続けていくことができるハズです。