乳がんの教科書

イメージ療法とは?

人間にとって、何かを「イメージする」という機能は
非常に重要な意味を持っています。
「イメージが人を創る」とも言われるほど!
実際、試験や試合の前に、
「自分はできる」「うまくいく」
というポジティブなイメージを持って本番に臨むと、
適度に緊張が緩和されて実力を発揮しやすかったりします。
いわゆる、「イメージ・トレーニング」というものですね。

 

こうしたイメージの力を利用して病気を治療していくのが、「イメージ療法」
大きく分類すると、心理療法の一つに含まれます。
「催眠」という特殊な意識状態への誘導下で潜在意識にイメージを植え込み、
それによって人の思考や行動を変えていこうという治療法です。

 

実は、このイメージ療法には、がんを治す力があるとも言われており、
近年、乳がんの治療法としても注目されています。

 

イメージは脳で作られ、そのイメージが全身を動かすわけですから、
「病気は治る」というポジティブなイメージを潜在意識に植えつければ、
体もその方向に向かって働くハズですよね?

 

逆に、「病気だから自分はもう駄目だ」「自分はもう死んでしまうんだ」
…と脳がマイナスイメージに囚われていると、
身体もその状態に誘導されてしまいます。

 

このような考え方を応用したのが、
がん治療におけるイメージ療法なのです。

サイモントン療法とは?

イメージ療法の中でも特に有名なのが、アメリカの医者、
カール・サイモントンが提唱した「サイモントン療法」です。

 

この療法は、
リラクゼーションとイメージングによって
ナチュラルキラー細胞(がん細胞を破壊させる細胞)を増やす
というもの。
サイモントン氏は、約4年間にわたって、
「心理面での治療が、実際に身体面での治療に効果を示しているかどうか」
を科学的に調査しました。
具体的な研究内容は次の通りです。

 

【対象患者】
不治と考えられている患者 159名

 

【4年後の結果】
死亡した患者 63名(ガンが判明してからの平均寿命:24.4ヶ月)
生存者の内訳
・がんが消滅した患者 14名  22.2%
・がんが退縮した患者 12名 19.1%
・症状が安定している患者 17名 27.1%
・新しくがん細胞が発生した患者 20名 31.8%

 

4年後に生存している患者の生存期間は、
一般的な身体的治療だけを受けた患者の約2倍!
また、死亡した患者の寿命(がん判明後の)も
約1.5倍以上であったといいますから、
彼のイメージ療法に有意ながん治療効果があることが分かるでしょう。

 

具体的なメカニズム

では、なぜ、イメージ療法ががん治療に効果を発揮するのでしょう。
私たちの体内ではどのような変化が生じているのでしょうか。

 

まず、イメージ療法の最大の効果は、
「今感じているストレスを低減する」
ということです。

 

私たちは、心身に不安や不満を抱えている(要するにストレス状態にある)と、
アドレナリンというホルモンが分泌され、
これによってさらに不安感が高まっていきます。
この悪循環をストップさせるためには、不安や不満の要因を取り除くこと。
ストレスの原因となった出来事を忘れてしまうか、もしくは考えないことです。

 

しかし、それが簡単にできれば誰も苦労しませんよね(笑)。

 

そこで、イメージの出番!
自分の好きなことやリラックスできる状況をイメージすることによって、
ストレスの原因と置き換えてしまえば良いのです。

 

これにより、「快」を感じた時(要するに楽しい時)に分泌されるホルモン
「ドーパミン」が上昇します。
ドーパミンが活発に生産されるようになると、
NK細胞(ナチュラル・キラー細胞)が活性化する!

 

というメカニズムで、がん細胞の破壊作用も増進されるというわけ。
ホルモンの分泌量が「気の持ちよう」に左右されることは
医学界でも認められていることです。

 

こうしたイメージの力を活用して
「メンタル面から身体の状態をコントロールする」
という発想は、乳がんの治療にも効果が期待できるでしょう。

 

イメージ療法のやり方(例)

がん治療の現場では、具体的にどのようなやり方で
イメージ療法が実践されているのでしょうか。
以下に、2つの例を挙げますので、参考にしてみてください。

 

【イメージ療法 その1】
@自分の好きな場所、好きな事など思い描きましょう。
徐々に自分の身体がリラックスしてくるのを感じましょう。
(アルファー波優位)

 

A@のリラックスした状態になったら、手のひらをがんの部位に当ててみます。
 (乳がんの場合は、乳房)
そして、自分の細胞が元気に生まれ変わっていく様子をイメージしてください。

 

Aの状態で、「細胞が生まれ変わっていく」「がん細胞が消えていく」
  というポジティブな良いイメージが描ければ、
  ナチュラルキラー細胞の活性化が期待できます◎

 

 

【イメージ療法 その2】 
※これは、なかなか内的なリラクセーションが得られない場合に
おススメの方法です。

 

@目を閉じて3回深呼吸します。

 

A自分が吸いこんでいる酸素が、
  雲ひとつない青空と明るく輝く黄金の太陽が混ざり合うことでできた
  青く金色の光となって入ってくるのが見えます。

 

BAの青い光が身体の中に入り、心臓→動脈→毛細血管へと、
  まんべんなく、やさしく、なめらかに動いていくのをイメージします。

 

C自分がリラックスしているのを感じましょう。

 

D光が全身を巡ったら、目を開けましょう。

 

【参考】
「イメージ療法 ハンドブック」(誠信書房)
アニーズA・シェイク(編) 
成瀬悟策(監修)