乳がんの教科書

日本の乳がん検診の現状は…?

皆さんもご存知のように、乳がん検診といえばマンモグラフィーが現在の主流。
これは日本に限ったことではなく、国際標準でも同様のことがいえます。
欧米諸国では、マンモグラフィー検診を導入した結果、
1990年から乳がんの死亡率が下降に転じたという調査結果もあります。

 

ところが、これに対して日本では、
ここ数年、乳がんの罹患率・死亡率が右肩上がり…!
一体、どうなっているのでしょうか。

 

ちょっと、日本の乳がん検診の歴史を振り返ってみましょう。

 

日本では、がん検診が始まったのが1950年代。
1980年代に「老人保険事業」の一環として
全国的にがん検診の設備が整備されたことにより、
がん(主に胃がん)の死亡率は大幅に低下したと言われています。

 

しかし、乳がん検診に関しては、
2000年代に入ってやっとマンモグラフィーが定着したという状況。
それ以前には、視診や触診が主流だったというから驚きです。

 

マンモグラフィーの乳がん発見率は視診・触診の約3倍といわれていますので、
マンモがなかった当時は見過ごされていた乳がんも多かったものと考えられます。

日本は宝の持ち腐れ?

2000年代に入って、ようやく日本でもメジャーになったマンモグラフィー。
しかし、2000年代初頭は、全国58%の市町村しか
マンモグラフィーを導入していませんでした。
また、マンモグラフィーを撮影できる技師や、
読影できる技術者も少なかったのです。

 

そのため、乳がんの検診を受ける人も今よりずっと少なく、
50歳以上対象者のわずか2%程度に留まっていたようです。
欧米では70%以上の人がマンモグラフィー検診を
受けていると言われていますので、
これと比較すると明らかに少ないですよね。

 

これはがんの発見が遅れることにもつながっていて、
「浸潤がんで他に転移してはじめてがんであることが発覚した」
というケースも少なくなかったのです。

 

このような状況を受けて、2004年にはマンモグラフィー検診対象者を
50歳以上から40歳以上に引き下げることになりました。
また、マンモグラフィーの技師を育成するための制度も整備!

 

マンモグラフィーがどれだけ優れた装置だとしても、
それを正確に操作できる人と、その検査を受ける人がいなければ、
結局は宝の持ち腐れ。
乳がん検診の分野では、日本は
欧米諸国に遅れをとっていたと言わざるを得ません。

 

今後も、地域格差が生じないような機会の配置や、
技術力の高い技師・医師をいかに養成するかが
日本の課題と言えるでしょう。

新薬認可制度はどうなっているの!?

日本の乳がん治療について考える上で、もうひとつ外せないのが、
日本の新薬の認可制度の問題です。

 

各種メディアでも指摘されていることですが、
日本は新薬の認可が遅いという傾向があります。

 

乳がん治療に広く用いられている「タキソール」という抗がん剤が
日本で認可されたのは、なんと世界で70番目以下!

 

「ハーセプチン」という抗がん剤が導入されたのも、
アメリカから遅れること2年でした。

 

また、アメリカでは乳がん発症リスクを低くする予防薬が
導入されているのに対して、日本ではまだ認められていない状況です。

 

「日本は医療技術が進んでいる国」と思っている方も多いと思いますが、
新薬の認可という観点から言えば
「遅れている国」と言わざるを得ない状況なのです。

 

なぜかというと、薬の認可には大がかりな臨床試験が必要だから。
様々な試験を行うことで、安全性を確認しなければならないのです。

 

以前は日本独自でこの試験を行うケースが多かったため、
日本での認可が遅れていた部分もあったようです。

 

そこで最近では、国際的な臨床試験に参加することで
認可を促進しようという働きかけもあるようですね。