乳がんの教科書

初めての体験 「告知」

テレビや映画、小説の中でよく見る「告知」の場面。

 

重々しい雰囲気の中で、医師に現実を突きつけられて絶望する…
筆者の中では、そんなイメージが出来上がっていました。

 

そのため、母が乳がんかもしれないという疑いが高まり
「ご家族と一緒にいらしてください」と通告された時、
「これがあの“告知”ってヤツかあ…」
とひどく絶望的な気持ちになったのを覚えています。

 

本当ならば母本人が一番つらいハズなのに…
今思えば、白状な娘ですよね(笑)。

 

それまで、“告知”は、
患者本人のいない場所で行われるものと思っていましたが、
実際はそうではありませんでした。

 

その日の全ての外来診療が終わった平日の夕方。
本人、夫、娘、母の姉、そして担当医の5人が狭い診察室に集まり、
母の病状とこれからの治療方針について話し合いました。

 

そう、「告知」というよりは
「話し合い」や「打ち合わせ」といった感じでしたね。
これは、体験してみなければわからなかったことです。

 

「精密検査の結果、乳がんでした」と淡々と告げる医師。
そして、
「今のところ、顕著な転移は見受けられませんでした」
という言葉に大きくホッと息を履いた伯母…。
あの、緊張感と安堵と不安とが入り混じった数十分のことは、
やけに鮮明に覚えています。

 

「乳がんだった…」と悲観する暇はなく、
「どんな治療法があるのか」
「これからどうしたいか」
「その結果、どんなことが考えられるのか」
を、“医師と一緒に考える”時間だったんですよね。

 

それまで、「乳がん=手術」とばかり思っていたのですが、
この体験を通じて、
がんだからといってすぐに切るのではないということを知りました。

 

様々な治療法の中から、
患者さんの病期や本人の希望、家族の希望に合わせて
治療法を一緒に考えていくというのが現在の医療なんです。

初めての体験 「手術」

筆者の母の場合、受診した時にはすでにしこりが4cmにも達していて、
痛みや腫れといった症状も出ていました。

 

にもかかわらず、手術は初診から約1ヵ月も先…。
正直、「おいおい、そんな先で大丈夫なの?」って思いましたよ。

 

しかし、これも体験してみなければわからなかったことですが、
がんだからすぐに切るというわけでもないんです。
まずは精密検査をして転移の状態などを調べ、
次に、切るか切らないかを相談し、最後に手術の日を決める…。
この日取りも、乳がんの手術は順番を待っている方が多いので、
1週間先、2週間先は当たり前です。

 

筆者の母の場合は、正式な日取りについて連絡が合ったのは5日前でした。
そして、手術の前日に入院。
前日は、問診を受けたり手術の説明を受けたりすることに加えて、
シャワーついでにわきの毛を処理したりします。

 

乳がん手術の場合は、内臓に手を加えるわけではないため、
食事も普通に摂ることができます。

 

夕方に夕食を済ませ、最後は下剤を飲んで寝ます。
(翌日、麻酔を打つ前に排便させるため)

 

そして手術。
ガラガラーっとベッドごと運ばれていくイメージでしたが…。

 

「ハイ、そろそろですよ」
と看護師さんが病室まで迎えに来て、母は自分の脚で歩いて手術室へ。
ちょっと頼りなさげな母の背中を見て、なぜか
「ごめんさい」という詫びる気持ちになった筆者でした。

 

これも、貴重な体験です。

初めての体験 「治療」

手術後は麻酔が覚めてゆっくりと目を覚まし…
というイメージでしたが、実際は、
強い吐き気と頭痛で目が覚めたそうです(筆者母・談)

 

筆者は歯医者での麻酔くらいしか受けたことがなく、
全身麻酔の体験がないためにその感覚は分からないのですが、
人によっては麻酔薬との相性が合わずに
母のような状態になる人もいるようです。

 

とにかく、気持ち悪いのと寒いのとで、非常に苦しかったそうで…。

 

正直、最初の面会で母の姿を見た時には、
「あんなに弱って…。もうダメなのか…」
と愕然とした気持ちになりました。

 

しかし、それもつかの間。
乳がんの場合は翌日には普通に食事も摂れるようになりますし、
歩けるようにもなります。

 

術後しばらくは、体液が溜まらないよう排出するために
手術跡に管を通してあります。
これを、どこに行くにもまるでポシェットのように
ワキにつるして歩かなければなりません。

 

最初は腕が上がりにくかったり寝返りがうてなかったりしますが、
術後1週間もすれば退院できます。
(管から出てくる液が透明になるのが目安)

 

そして、母の場合は、退院して約1ヵ月から抗がん剤治療が始まりました。
私たち家族にとって初めての体験となる抗がん剤。
吐き気に苦しむ母を支えられるんだろうかと、
本当に不安でたまらなかったのですが…。

 

実際は、副作用を抑える薬がよく効いていたのか、
吐き気に苦しめられたということはありませんでした。
これは、母にとっても周りで支える家族にとってもありがたかったですね。

 

ただ、脱毛したり、腕や顔がちょっとむくんだり、
味覚が分からなくなったり…といった副作用はありましたね。
抗がん剤が味覚を麻痺させるというのは
この体験がなければ分からなかったことなので、
非常に勉強になりました。

 

精神的にうつっぽくなったりもしていましたが、
お笑いライブを見に行ったり、綾小路きみまろのDVDを見たり、
クラシックを聞いたりと、色んな気分転換をして乗り切りました。

 

今も乳がんと闘っている方がたくさんいらっしゃると思いますが、
ご本人もご家族も、協力して乗り切ることが大切だと思います。

乳がんの体験について読む

乳がん体験について記されているブログはたくさんありますが、
筆者のオススメはぽぽさんの乳がん体験日記

 

ご自身の乳がん体験を、感じたままに素直に記されています。
繊細ながら、とても芯の強い女性像が伝わってくるブログです。
ぜひ、ポポさんの体験を参考にしてみてください。