乳がんの教科書

田中好子さんの19年間の戦い

2011年4月、「スーちゃん」こと田中好子さんが乳がんで亡くなりました。
このニュースは、田中好子さんのファンのみならず、
多くの女性たちにとってもショックな出来事だったことでしょう。

 

田中好子さんは、19年前(36歳の時)に乳がんを発症して以来、
年に2〜3回の検査を欠かしていなかったそうです。
それでも病魔には勝てないという現実。
特に、今現在乳がんで闘病している方や、
乳がん克服後で再発に脅えている方々にとっては
なおさらショックが大きかったと思います。

 

しかし、よくよく闘病の経緯を確認してみると、
何度か再発・手術を繰り返していたようですね。
手術を繰り返していたということは、1回で全て切除してしまうのではなく、
乳房を温存することで局所的な再発を繰り返していたのではないでしょうか。
芸能人ですから、
「乳房を大切にしたい」という思いが特に強かったのかもしれません。

 

しかし、温存手術場合は温存した乳腺から再発を生じることも多いので、
筆者の母のようにバッサリと全て切除してしまう道を選ぶ方も多いようです。

 

田中好子さんのケースで残念だったのは、
再発したがん細胞が遠隔転移してしまったことでしょう。
あくまでも報道ベースの情報ですが、
肺や肝臓転移してからの進行が早かったようです。

 

何年経てば「治癒した」と言えるの?

田中好子さんのように、最初の乳がんから19年経過していても、
再発が原因で命を落としてしまう方もいます。

 

それなら、何年経てば“治癒した”と言えるんだろう?
と、疑問に思いますよね。

 

乳がんの場合は、10年目で問題がなければ、一般的には「治癒」と考えます。
乳がんの術後経過観察も、10年でとりあえずは終了しますので。

 

しかし、医師は、「必ず年1回は乳がん検診を受けるように」と推奨します。
それは、田中好子さんのような例が少なくないからなのでしょう。
特に、ホルモンレセプターが陽性のタイプの乳がんは、
5年以降の再発が多いのが特徴。
他のがんのように「5年経過したら安心」とは言えず、
10年目以降であっても再発の可能性は否定できません。

 

最初のピークは術後5〜7年目、
その次は13年目にピークがあると言われていますので、
正直、何年経っても「もう大丈夫」と油断することはできないのです。

有名人にも多い乳がん

田中好子さんのニュースは多くの人々にショックを与えましたが、
芸能界を見渡してみると、
乳がんで闘病した経験をお持ちの方は非常に多いですよね。

 

タレントの山田邦子さんは、
40代後半の時に出演番組がきっかけで乳がんを発見。
幸い、早期であったたけ、温存手術で治癒しています。

 

また、倍賞千恵子さん、宮崎ますみさん、アグネスチャンさん、
平松愛理さん、島倉千代子さんも乳がんの経験者です。

 

みなさん、ご自身の体験を踏まえて、
乳がん検診の啓蒙活動に積極的に務めていらっしゃいますよね。

 

一方、田中好子さんのように乳がんで命を落としている方も多いようです。
記憶に新しいところでは、ロック歌手の川村カオリさん。
乳房切除後、再発してからの進行が早く、
リンパ節・骨・肺の3カ所に転移して、38歳の若さで亡くなっています。

 

「芸能人だったから、一般人よりストレスが多かったんでしょ」
「お金持ちだから、良いもの食べ過ぎてたんじゃない?」
…などと他人事のように考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、
乳がんはどんな女性でも罹患する可能性がある病気です。

 

「自分は大丈夫」と過信せず、必ず定期的に検査を受診しましょう。