乳がんの教科書

錯綜する情報

乳がんを含め、あらゆる病気の根本には普段の食事が深く関係しています。
そのため、病気を予防・再発を防ぐためには
普段の食事の改善が非常に有効なのです。

 

実際、乳がん予防に効果的な食事、
乳がん治療に効果的な食事について調べていると、
非常に多くの情報がヒットします。
専門家が発表した医学的根拠のある情報もあれば、
眉つばものの情報もありますが…。

 

しかし、「Aが乳がん予防に効果的」という情報もあれば、
「Aは乳がんの原因になる」という情報もあり…。
患者さんやその家族は、
そういった情報に振り回されて疲弊してしまいます。

 

例えば、卵。
卵は乳がん患者にはよくないという記述がある雑誌やサイトがある一方で、
卵に多く含まれる栄養素「コリン」
乳がんリスクを24%まで減少させるという研究結果も出ています。

 

一体、どちらの情報を信じたら良いのか?
一体、何を食べて良くて何は食べてはいけないのか。

 

迷ってしまいますよね。

 

そういう場合は、その情報の出所を調べることです。
大学の教授や医師が発表した学術論文に基づく情報であれば
ほぼ間違いないと思います。
学術論文に掲載されるには、
その前段階として専門家による審査があります。
それを突破して掲載されているわけですから、
妥当性が高いということになります。

 

これとは反対に、出所が明確でないもの、出典先が明確でないものの情報は
一度疑ってかかったほうが良いかもしれません。

乳がんと食事

メタボ対策で、高脂肪、高カロリーの食事を控えている方も多いことでしょう。
そのような食事制限は、乳がんを予防する意味でも非常に効果的です。

 

体内の中性脂肪が増えると
女性ホルモンであるエストロゲンの生産量が増えると言われていますが、
これが乳がんの発症に深く関与していることが分かっているのです。

 

乳がんを発症するリスクの高い人として

 

・初潮が11歳以下
・閉経が55歳以上

 

…という方が挙げられますが、これは、
生理期間が長く、女性ホルモンの影響を長く受けるため。
それだけ、乳がんのリスクが高くなるのです。

 

こうしたことからも、
肥満を避ける食事法が乳がんを効果的に予防すると考えられます。

どんな食事が理想的?

一般的に、たんぱく質を多く摂取すると活性酸素が増えます。
活性酸素とは、ごく簡単に言うと体内の細胞をサビつかせるもの。
身体の組織を破壊してしまうため、
「アンチエイジングの敵」としても知られています。

 

活性酸素を増やさないために有効なのが、
食事で野菜を豊富に摂取すること。
野菜には、活性酸素を増やさない抗酸化物質が豊富に含まれているのです。
(例:ポリフェノール、ベーターカロチン、大豆のイソフラボン、
柑橘系果物のフラボノイドなど)

 

大豆のイソフラボンは、
女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをすると言われていますが、
体内の女性ホルモンが多い場合には拮抗的に作用するために
乳がんを予防する効果があるのです。

 

また、大豆を食べることで良質のタンパク質が摂取できるため、
肉を食べなくてもタンパク源を取ることができます。
食事に豆腐や納豆などの大豆製品を積極的に取り入れることにより、
高脂肪な食事を避けることができるというわけです。

 

実際、ラットを使った実験によれば、
野菜、果物、海藻などを大量に摂取することで
乳がんの発生を抑えることができたのだとか。
ヒトで証明されたわけではありませんが、
これは非常に興味深い結果です。

 

…と、ここまで乳がん予防と食事について書いてきましたが、
あまり神経質にならずに好き嫌いをせずバランスよく食べるのがベスト。
一つの食材に偏ることなく、いろんなものを食べるようにしましょう。

 

【注意!】
大豆イソフラボンは乳がんの予防に効果的ですが、
乳がんの治療中にはイソフラボンの大量摂取を避けるべきです。

 

大豆イソフラボンは、体内の女性ホルモンであるエストロゲンと
似た作用をもつ植物エストロゲン。
体内のエストロゲンが多い状態では
イソフラボンが拮抗して「抗エストロゲン作用」をもたらし、
乳がんを予防する方向に作用します。

 

ところが、乳がんの治療でホルモン療法や
抗がん剤治療などを行っている場合には、
イソフラボンが逆にエストロゲン様作用を発揮し、
乳がんを促進させてしまう危険性があります。