乳がんの教科書

乳がん治療は夫婦にとっての試練

今や乳がんは、どんな女性にとっても他人事ではありません。
若かろうが、胸が小さかろうが、
出産を経験していようが・いまいが、誰もが罹患する可能性があります。

 

また、もし既婚者が乳がんに罹患すれば、
それは本人のみならず夫も向き合わなければならない問題。
今後の家族計画、生活設計を根本から見直す必要も出てきますので、
乳がんは夫婦で戦うべき試練なのです。

 

この病とどう立ち向かうか、
その夫婦の絆を試されていると言っても過言ではないでしょう。

 

…しかし、そうは言っても、病は突然訪れるもの。
夫婦としてどう向き合えば良いのか戸惑うケースがほとんどです。

 

そんな時に参考になるのが、
歌手・レポーターとして活躍する泉アキさんの闘病記
乳がんで乳房の4分の1を切除した泉さんを支えてきたのは、
落語家である夫・桂菊丸さんでした。

 

泉さんの乳がんが発覚した時、菊丸さんは、
「アキは温泉が好きだから、これからは日本中の温泉めぐりをしよう。
この家を売っても構わないから世界中を旅しようよ」
…と言ってくれたのだとか。

 

「旦那がこんなに自分のことを思ってくれる大事な存在だと気付いたことは、
自分にとって最高に幸せなことだった」

 

と、後日、泉さん本人も語っているように、
夫は「乳がん」というマイナスをプラスに変えてくれる存在になり得ます。

 

夫婦で乳がんを乗り越えたお二人は、
手術した4カ月後にそろってマウイマラソンに参加。
手をつないで、堂々のゴールを達成しているんです!

子供を産めない可能性をどう受け入れる?

妻が乳がんを患った時、夫婦に突き付けられる最も大きな問題は、
「子供をどうするか」ということではないでしょうか。
小さなお子さんがいらっしゃるのに、命に関わるステージまで進行している…
というケースももちろんですが、
ここで取り上げたいのは、
「産みたいのに産めないかもしれない」という可能性です。

 

ホルモン治療の場合、女性ホルモン抑制剤を投与している期間中は、
生理がきません。
つまり、その間は確実に妊娠できないということになります。
しかも、薬の副作用で、生理が完全に止まってしまう場合もあります。

 

もちろんこういったリスクについては主治医から事前に説明がありますので、
その可能性も含めて治療法を検討していくことになります。
投薬の副作用で子供を産めなくなる可能性があるという現実を受け入れ、
「それなら仕方がない」と割り切れるかどうかも、夫婦にとっての試練です。

 

時には、妊娠中に乳がんが発覚し、
出産をあきらめざるを得ないケースもありますし…。
そのような場合、もちろん“夫婦としての”決断が大事なわけですが、
やはり妻本人の気持ちを第一優先すべきではないでしょうか。

 

乳がんに罹患するのも、子供を産むのも女性です。
客観的・冷静な判断ができる男性の助言はもちろん大切ですが、
頭ごなしに「産むのを諦めろ」と強制するのでは、長い目で見た時に
確実に女性のココロにしこりが残ってしまいます。

 

夫はあくまでも妻の意思を尊重し、
その決断を可能な限りバックアップすべきでしょう。

 

※ただし、ホルモン抑制剤が効く場合でも、
妊娠の希望があれば違う治療を選択するということもできますし、
ホルモン治療後に結婚して子供を産んだというケースもあります。
年齢や体質によって経過は異なりますので、
必ずしも妊娠を諦めなければならないわけではありません!!

どうする? 乳がん手術後の夫婦生活

乳がんの手術をきっかけに、
夫婦の性生活がなくなってしまうというケースも多いようです。

 

「術後の傷跡を見られたくない」
「拒否されるのではないか」

 

…という妻の苦悶や、

 

「触れるのが怖い」

 

という夫の葛藤…。

 

これを乗り越えられるかどうかも、夫婦の試練でしょう。

 

ただ、たとえ乳房を切除したとしても、性機能そのものに影響はありません。
乳がんの手術後に出産をする方も多いですし、
残った側の乳房で、母乳で育児をしている人もいます。

 

「乳房を取ったからもう妊娠はできない」
「乳房がないから、もう女性としての魅力がない」
…と否定的になる必要はありません。

 

実際、グラフのように、夫は手術の傷跡をさほど気にしていないのですから。
kinina

 

そして、もしも妻がそういう引け目を感じているのなら、
それを和らげてあげるのもまた夫としての役目と言えるでしょう。

 

ただし、ホルモン剤や抗ガン剤による治療を受けている場合は、
妊婦にとって禁忌の薬剤が使用されているケースが多いようです。
ホルモン療法で生理が止まっていればその心配はないかもしれませんが、
念のため、治療中は避妊をするようにすべきですね。