乳がんの教科書

社会復帰までの道筋

乳がんの手術後、ともすれば
「早く社会復帰しなくちゃ」
「早く仕事に戻らなくちゃ」
…と焦りを感じてしまうかもしれません。

 

しかし、社会復帰(つまりは仕事の再開)については医師との相談が必要です。
色々と心配になってしまうのは分かりますが、
術後は十分な休養と気分転換が必要です。
心身のメンテナンスをおろそかにしていそいそと社会復帰してしまうと
後になってから思わぬ反動でダウンしてしまうこともあり得ます。

 

とはいえ、肉体労働でなければ、
退院後すぐにでも仕事を開始することは可能です。
ただし、術後療法
(抗がん剤の投与、ホルモン療法剤の服用、放射線照射など)
予定している場合は、職場の上司ともよく相談しなければなりません。
体調が悪ければ休まなければなりませんし、
治療スケジュールに合わせて通院も必要になります。

 

自分は「早く社会復帰したい!」と思っていても、
身体が言うことを聞いてくれないかもしれませんし、
職場の組織にも事情があります。
仕事量や職種などを変更してもらわなければ
勤務を続けられない可能性もありますので
その辺は無理をせず、ありのままを正直に話して調整しましょう。

 

もちろん、職場の理解さえ得られれば、
今までの仕事を継続していくことは十分に可能です。

社会復帰に焦りは禁物!!

乳がん治療後の社会復帰に、焦りは禁物です。

 

なぜなら、最初は手術後の後遺症で肩や腕の動きもままならないからです。
今までは簡単に持てた物が持てなくなっていたり、
タオルを絞れない、瓶の蓋を開けられない…等々、
自分自身でも戸惑うような変化が生じているかもしれません。

 

特に、脇の下のリンパ節を切除した場合、腕に“むくみ”が出やすくなります。
退院後も、しばらくの間は定期的に通院して
社会復帰に向けたリハビリテーションが必要になるケースも出てくるでしょう。

 

あまりにも後遺症がひどい場合には、
理学療法士や作業療法士による
専門的な機能訓練を受けることになるかもしれません。

 

とにかく今は、社会復帰よりも先に“日常”を取り戻すことが大切。
あまり先を焦らず、今はゆっくりと自分のペースで生活しましょう。

 

腕が思うように動かない場合は、家事なども一人でこなそうとせず
家族の助けを借りましょう。病気の時は、人に甘えても良いんですよ!

 

とはいえ、肩や腕の筋肉や関節は、
使っていないとどんどん機能が衰えてしまいます。
自分でできることは積極的に行い、身体の機能を取り戻す努力も必要です。

 

自立と甘え、そのバランスを取るのが難しい時期かもしれませんね…。

 

定期検診は必ず受けよう!

一度乳がんを患うと、
「再発するのではないか」
「実はまだしこりが残っているのではないか」
…と、乳がんの再発に脅えるようになってしまう方も多いようです。

 

その恐怖心から、自分の乳房を触れなくなってしまったり、
乳がん再発の発見を恐れて定期健診に行かなかったりするケースも…。

 

しかし、よく考えてみれば、
検査に行ったからこそ、今のあなたの命があるわけですよね?
または、検査から足が遠のいていたから、
乳房を切除することになってしまったのでは?
定期健診を受けずにいればいるほど、
自分の中の不安感もふくらんでいくばかりです。

 

「乳がんのことを忘れてしまいたい」というお気持ちは分かりますが、
定期健診を勝手にキャンセルしてはいけません。
社会復帰した後も、定期検診だけは欠かさず受けましょう。

 

(最初は1カ月ごと、これがやがて3カ月ごとになり、半年ごとになり…と、
検診の期間は空いていきますが、
医師の指示通りに継続して受診することをおススメします。)