乳がんの教科書

再発のショックは大きい

乳がんは、女性にとっては特にショックの大きい病気。
場合によっては、大切な乳房にメスを入れることになるわけですから…。

 

「今までのようにファッションを楽しむことができなくなるのでは?」
「結婚できなくなってしまうのでは?」
「子供を産めなくなるのでは?産んでも育てられないのでは?」

 

…女性にとっては一生を左右する問題です。

 

しかし、告知以上にショックが大きいのが、乳がんが再発した時。
すでに片方の乳房を切除している場合は、特に、
「辛い思いをして手術をしてようやく現実を受け入れたのに…また!?」
と、ショックでなかなか現実を受け入れられないでしょう。

 

乳がんの場合、他のがんに比べると予後が良いため
5年後、10年後に再発するケースも多いのが特徴。

 

ようやく普通の生活に戻ったところで、また…。
患者にとっても家族にとっても、精神的なショックは大きいようです。

医師が心がけている「SPIKES」とは?

乳がんの再発によって受ける患者側のショックを和らげるため、
医師としてもその告知法には様々な工夫を凝らしているようです。
そのうちの一つが、「6段階の情報伝達でショックを和らげる」という
「SPIKES」です。
(参考:「がんサポート情報センター」サイト

 

★セッティング(Setting)
面談の準備を整える

 

★パーセプション(Perception)
患者さんが自らの状況をどの程度、理解しているかを把握する

 

★インビテーション(Invitation)
病状についての理解を確認したうえで、
治療についての意向を患者さんにたずねる

 

★ノーリッジ(Knowledge)
現在の状況、病状についての情報を伝達する

 

★エモーション(Emotion)
その情報に対する患者さんの感情を受け止める

 

★ストラテジー(Strategy)
患者さんの気持ちを受け止めたうえで、
今後の治療戦略についての方向性を話し合う

 

 

まず、最初の3段階では、
悪い知らせ(要するに乳がんの再発)を受けとめるために
患者側の“心の準備”を整えます。

 

その上で、4段階目で再発という現実を伝えます。
再発を伝えられた患者は、当然、ショックを受けるでしょう。
絶句する人もいれば、その場で泣きだす人もいます。

 

5段階目は、そういった患者側のショックを受けとめる段階です。
この5段階目を軽んずると、その後の6段階目も実際の治療もうまく進みません。
医師としては、特にここに時間をかけ、大切にしているようですね。
(一緒に沈黙してあげたり、好きなだけ泣かせてあげたり…)

ショックでうつ状態に陥ることも…

再発を告知された患者の中には、
ショックでうつ状態になってしまう方も多いようです。
せっかく覚悟を決めて乳房を切除したのに、また同じ病魔が巣食っている。
やり場のない怒りをどこに向けて良いのかわからず、
自分自身を責めてしまう方も…。

 

手術後に抗がん剤やホルモン剤治療を受けていた場合は特に、
「今までの頑張りはなんだったんだ!?」
と、ショック以上に怒りを感じてしまうのだとか。

 

そこから
「どうしてあの治療法を選んだのか」
「治療後の自分自身の生活に原因があるのではないか」
…と、自らを責め続けて追い詰めてしまうのです。

 

もし、ご家族がこのような状態に陥っている場合は、
専門的なカウンセリングを受けることをおススメします。
ショックから立ち直れない患者自身は、
自分自身の内面ばかりに目を向けてしまいがち。
周りが何を言っても、聞く耳を持てる余裕はないでしょう。

 

その人の行動自体には問題がなかったことを理解してもらうには、
専門家によるカウンセリングが必要です。

 

主治医に相談し、色々と話を聞いてもらったり、
再発や治療についての疑問点に応えてもらったりすることで
患者の気持ちが落ち着くこともありますので、
まずは主治医に相談してみましょう。

「4つのS」でショックを乗り越えよう

再発のショックを乗り越えるためにぜひ実践していただきたいのが、
次にあげる「4つのS」です。

 

【4つのS】(参考:「がんサポート情報センター」サイト

 

★睡眠
★水分
★食事
★しゃべること

 

筆者の母が乳がんを患った際、近くで見ていて最も大切だなと感じたのは、
最後の「しゃべること」ですね。
コレ、女性には特に大切だと思います(笑)。

 

自分のショックを口に出すのと、出さずに溜め込んでいるのとでは、
気持ちの負担が全然違います。
恨み事を延々と話していることもあり、
こちらも気が滅入ることもありましたが、
好きなだけ愚痴った後は気持ちもスッキリするようで、
表情の明るさが違いました。

 

家族にとってはストレスかもしれませんが、
乳がん患者本人がショックを受け入れられるようになるまでは、
じっくり話を聞いてあげることが大切だと思います。

 

ちなみに、乳がんの患者同士だからこそ共有できる気持ちもあるでしょう。
家族であっても、やはり患者の辛さは当人でなければわかりません。
そんな時は、全国の「患者会」を利用しましょう。