乳がんの教科書

2年後、5年後を覚悟せよ

乳がん手術や術後療法が終わってひと段落。
ようやく、ホッと一息つける…。
周囲の人はそう思って安心しているかもしれません。

 

しかし、当の患者本人にとっては、まだ終わってはいません。
2年後、5年後、10年後。
乳がんの再発リスクはゼロではないからです。
どれだけ完璧にがんの病巣を切除したとしても、
長い時間を空けて再発するケースは少なくありません。
(10〜15%の確率で再発が起きると言われています)

 

ちなみに、乳がんは「全身病である」とよく言われますが、
それは、血液やリンパの流れに乗って
他の臓器に転移する可能性がある病気だからです。
手術でしこりを切除した後、
抗がん剤治療やホルモン療法などの術後補助療法を行うのは、
こうした転移のリスクを少しでも軽減する意味があるのです。
(ごく初期の場合、転移細胞を発見するのは難しいので)

 

酷な言い方かもしれませんが、一度乳がんを経験した患者さんは、
常にこの「再発」を意識しながら生活を続けていかなければなりません。

再発のショックを乗り越える心構え

せっかく治ったと思ったのに、また病魔が自分の身体をむしばんでいる。
乳がんの再発を知ったショックで、
うつ状態になってしまう患者さんも多いようです。

 

手術後に、抗がん剤やホルモン剤治療などの術後療法を受けていた場合は、
「再発しないように頑張ったのに、どうして…」と、
やり場のない怒りを覚えることもあるでしょう。

 

しかし、再発のショックを乗り越える上で大切なのは、なによりも
「現実を受け入れること」
最初は難しいかもしれませんが、
「え〜い、こうなったらとことん付き合ってやる!」と
ある意味では“開き直って”、乳がんとうまく付き合っていくしかありません。

 

これは、再発した乳がんのみならず、糖尿病やアトピーなど、
薬を使って長期に渡って症状をコントロールしていかなければならない病気
全般に当てはまることです。

 

完治することは難しいかもしれませんが、
「合併症を起こさせないように」
「転移をできる限り抑えられるように」
「病気がそれ以上進行しないように」
症状をコントロールしていけば、QOL(生活の質)も維持することができます。

 

もちろん、寿命を延ばすことだって可能です。

 

再発した乳がんを治療する上で心がけるべきは
「気を長く持つ」ということではないでしょうか。

「話すこと」と「眠ること」を大切にしよう

再発のショックを乗り越えるためにおろそかにできないのが、
「話すこと」「眠ること」です。

 

乳がん再発を告知され、
精神的なショックで食事を摂れなくなる方も多いと思いますが、
人間、1日2日食べなくてもどうってことはありません(笑)。

 

それよりも深刻なのは、不安や恐怖を表に出せず、抱え込むこと。
そして、それを抱えたまま、昼夜もんもんと悩み続けることです。
辛い感情を口に出すのと、出さずに溜め込んでいるのとでは、
心身の状態が全く違います。

 

そもそも、がん細胞はストレスフルな身体が大好き!
弱みにつけこんで、ますます増殖の勢いを
パワーアップさせてしまうかもしれません。

 

不安な時は、抱え込まずに吐き出して、泣きたいだけ泣けば良いのです。
恨み事を言いたければ、思い切り言えば良い。
聞いている人はストレスを感じてしまうかもしれませんが、
ここを乗り越えなければ患者さんは前へ進めません。

 

もし、相談できるような相手がいないという場合は、
全国の「患者会」で相談できる相手を見つけましょう。
あなたと同じように乳がんの再発を受け入れ、
乳がんと共存しながら前向きに生きている人の体験を聞けたり、
様々な情報を交換したりすることができます。

 

あなたも、心強い“同士”を探してみませんか?