乳がんの教科書

リンパ浮腫とは?

「リンパ浮腫」とは、乳がんの手術後に表れる、いわゆる“むくみ”のこと。
脇の下のリンパ節郭清を受けた患者さんに表れる症状です。

 

手術によってリンパ節を切除してしまうと、
血管と同様に身体の中に張り巡らされている
リンパ管内の流れが滞りやすくなり、
結果として皮下組織にリンパ液が過剰に貯留され、
浮腫につながるという仕組みです。
rinpa

 

特に、脇の下のリンパ節は、
四方八方からのリンパ管が流れ込む交差点のような場所ですから、
ここが手術で遮断されてしまうとリンパ液の流れも大きく変わってしまいます。

 

他の経路にスムーズに流れているうちはリンパ浮腫も予防できますが、
それがうまくいかないと皮下組織に過剰に貯留するようになり、
結果として腕がむくんでしまうのです。

 

リンパ浮腫の症状は、乳がんの術後すぐに表れる人もいれば、
何年も経ってから表れる人もいて、人それぞれ。
日常生活の送り方によっても発症のしやすさに差が出てきます。

 

リンパ浮腫の初期症状

一言で「リンパ浮腫」と言っても、
誰にでも起こりえる“むくみ”とどのように違うのか、
素人にはなかなか判断がつかないですよね。

 

乳がん手術後のリンパ浮腫の初期症状は、
「腕が重い」「だるい」といった感覚。
「皮膚が引っ張られるような鈍い痛み」を訴える患者さんも多いようです。

 

以下に、リンパ浮腫の初期症状の例を挙げますので、
気になる症状が出ている方はチェックしてみましょう。

 

[リンパ浮腫の症状]

 

0期 潜在的なむくみ(むくんでいるかどうかはっきりわからない)

 

1期  柔らかいむくみがある。指で押すとへこむ
    むくんだ腕や脚を挙げておくと元に戻る

 

2期  皮膚が硬くなり、指で押してもへこまなくなる
    腕や脚を挙げても、戻らない

 

3期  皮膚がかなり硬くなり、ガサガサした状態になる

 

 

まずは、指で腕を押してみて、へこんだ跡が残るかをチェックすることですね。
浮腫が出ていると、血管が隠れて見えにくくなっていたり、
皮膚表面が伸展してテカテカ光っているように見えることもあるようです。

自宅でできる!リンパ浮腫の予防法

日常生活の中でできる予防法については、
「乳がん術後の”むくみ”対処法」の項目でも紹介していますが、
それに加えて、毎日のマッサージも非常に効果的です。

 

ポイントは、リンパ液の溜まりやすい部分を中心に、
全身にリンパ液が行き渡るように誘導する方向でマッサージすること。
方向を意識することが非常に重要です。
こちらのサイトが大変参考になります◎)

 

起床後、昼休み、入浴中…などのリラックスタイムを利用して、
1日3回、1回15分程度を目標に続けてみましょう。

 

また、皮膚が乾燥してバリア機能が衰えると、
ちょっとした傷口からの細菌感染が原因でリ
ンパ浮腫を発症してしまうこともあります。
クリームやワセリンなどをまめに塗り込んで、肌の保湿を心がけましょう。

 

加えて、ムダ毛処理の時に肌に傷をつけたりしないよう、注意が必要です。

 

さらに、肥満もリンパ浮腫の元。
脂肪が増えればリンパ液の通行も妨げられやすくなり、
むくみやすくなるのです。
適性体重を保つように心がけましょう。

「もしかしてリンパ浮腫?」と思ったら…

なんとなく腕が重いな。
皮膚が炎症を起こしている!

 

…そんな時は、すぐに主治医に相談しましょう。
治療法としては、スキンケアやリンパドレナージ(マッサージ)、
圧迫、圧迫下での運動などがメインとなります。

 

リンパ浮腫の治療自体は
「リハビリテーション科」が担当している病院が多いようですが
まずは、乳がん手術を担当してもらった主治医の判断を仰ぐことが先。

 

自己判断せず、症状が悪化する前に早めに受診しましょう。