乳がんの教科書

アロマテラピーの歴史

ご飯の炊けるニオイ、コーヒー、洗剤、芳香剤、香水、シャンプー、化粧品…。
私たちの日常生活には、様々な“香り”があふれています。
意外と気づいていないものですが、その香りによって
知らず知らずのうちにイライラしたり、リラックスしたりしていることも…。

 

そのような人間の心身のメカニズムを利用した療法が、アロマテラピー
この言葉を聞いたことがない人はいないのでは?と言えるほど、
すっかりメジャーになった言葉ですよね。

 

アロマテラピーとは、正式には、植物から芳香成分を抽出した
「エッセンシャルオイル(精油)」を用いて行う療法のこと。
発祥は、古代エジプト時代と言われています。

 

イギリスやドイツなど欧米諸国では古くから医療の現場で活用されており、
西洋医学+代替医療を組み合わせた
「統合医療」の一つとして分類されています。

 

欧米に比べると日本はまだまだ遅れを取っていますが、
日本でも1998年に「日本アロマテラピー学会」が発足。
近年では、がんの治療法としてもその効果が注目されるようになっています。

 

アロマテラピーを介入することでがん諸症状が緩和したという報告もあり、
例えば、2008年に「日本緩和医療学会」から発行された
「がん補完代替医療ガイドライン」の中では、
「推奨グレードB」と評価されています。

乳がん治療とアロマテラピー

乳がんをはじめ、がん治療にアロマテラピーを採用する第一の目的は、
「心理的な不安・恐怖の低減」です。

 

乳房の切除や抗がん剤よる副作用からの脱毛…と、乳がんは
他のがんに比べて特に女性の自尊心を傷つけ、
心理的ストレスを高めるリスクが高いのが特徴。
そのため、アロマテラピーによるリラックス効果に寄せる期待も大きいのです。

 

精油に含まれている芳香成分は脳の「視床下部」に働きかけることで
自律神経系や免疫系、
内分泌系のバランスを整えてくれることが分かっています。
ストレスと自律神経系は密接に関わり合っていますので、
自律神経系のバランスが正常化すると結果的に心理的な不安感も低減し、
精神的なリラックスにもつながるのです。

 

また、乳がんでリンパ節郭清の手術を受けた後に生じる“むくみ”の軽減にも、
アロマテラピー(この場合はアロママッサージ)が効果的。
精油を使って、患部を優しく“なでるように”マッサージするのがポイントです。

 

ちなみに、マッサージの場合は、
精油をマッサージ用のオイル(キャリアオイル)で
1%未満に薄めたものを使用します。
(キャリアオイル10mL+精油2滴)

 

ただし、体質によってはアレルギーなどのトラブルが生じることもあり得ます。
できればプロの元でマッサージを受けるのがベストですが、
「自分で手軽にアロママッサージをしたい」という場合は、
事前にパッチテストをすることをおススメします。
(精油をオイルで薄めたものをガーゼやコットンにつけ、
腕の内側に貼り付けます。
1日ほど放置して、特に異常がなければ問題ありません◎)

 

乳がんにお勧めのオイルは?

心理的なリラックス効果抜群のアロマテラピーですが、
一言で「アロマ」と言っても様々な種類の香りがあります。
中には、乳がんの治療には不向きな香りもありますので注意が必要です。

 

基本的には、嗅いでいて「いいニオイだな」「落ちつくな」
…と心地よさを感じられる香りであればOKなのですが…。

 

乳がんで「ホルモン療法」を受けている場合、
フェンネルやクラリセージ、アニスなど
「エストロゲン様成分」(要するに、女性ホルモンと同じ効能を持つ成分)を
含むオイルは使用を避けることをおススメします。
(乳がんの約65%がエストロゲン依存性の乳がんであり、
エストロゲンの刺激によってがん細胞の増殖が高まってしまうため)
aroma

 

一方、乳がん患者におススメのオイルは、次の4つです。

 

☆真正ラベンダー
副交感神経の働きをよくして抹消血管を広げる作用のある、
「リロナール」という成分が含まれています。
精神を安定される作用、鎮静作用、睡眠作用、
免疫アップの効果が期待できます。

 

☆ローズマリー
抗うつ作用、健胃作用、集中力アップなどの作用アリ◎
気持ちが落ち込みがちな時に特におススメです。

 

☆ペパーミント
吐き気を抑える作用があるので、
抗がん剤の副作用を緩和する効果が期待できます。

 

☆ユーカリ
利尿作用があるので、むくみ解消に効果大♪

 

参考:「がんナビ」サイト